基本事項
この検定試験に関する、基本事項です。
「地域イノベーション」について
この検定での「地域イノベーション」とは、なるべく広い意味に捉え、規模の大小や注目度にかかわらず、各地域に新たな流れを創造し、地域の方が生活に変化を感じたり、誇りをもつようになること、と定義しています。
イノベーションは、インベンション(発明)とは異なり、世紀の大発明である必要はなく、より多くの人材が地域課題に目を向け、何らかの方法で解決に取り組むことが重要です。
そういった意味では、地域イノベーションとは、「地域での、ひとひねり、できればオンリーワン」の活動が該当するとも考えられます。
地域イノベーション検定は、地域で新しい取り組みを行う際に最低限知っておくべき内容をカテゴリー別に整理して出題します。
地域イノベーションの効果
地域イノベーションの効果は、図1のように、経済的効果と非経済的効果に大別されます。経済的効果とは、商品・サービスの創出による売上(産品のブランド化)の増加や雇用創出などを指します。非経済的効果とは、地域の認知度やイメージ向上、地域の方の誇りの醸成、関係人口の増加、地域固定ファンの増加(地域のブランド化)などを指します。
単に「おしゃれ、かっこいい」商品やサービスを生み出すだけでなく、商品やサービスをきっかけに地域自体が評価を受けるような取り組みに繋げていく必要があります。
言い換えると、「地域ブランド」とは「地域に対する消費者からの評価」であり、地域が有する無形資産のひとつです。「地域ブランド」は、地域そのもののブランド(RB = Regional Brand)と、地域の特徴を生かした産品(商品・サービス)のブランド(PB = Products Brand)から構成されます。
図1:都道府県人材育成事業での当社資料(2019,当社作成)
地域イノベーション人材の在り方
誰しも、地域での諸活動により、地域を良くしていくことは可能です。地域の方の五感に訴える取り組みを行い、一日、一瞬でも地域の方が生活に変化を感じられる取り組みを行う方を、当社では、地域イノベーション人材と定義しています。
いたずらに成功事例をまねることなく、地域課題に目を向ける姿勢[成功事例は、自分たちが創る姿勢][対象となっている方や地域がどのようになるのが幸せかを考える姿勢]があれば、少なからず地域に何かを残すことはできます。
図2のように、地域課題を事業機会ととらえ、他者の共感を得られるような事業構想力を活かして解決を図ることで、さらに地域で期待される人材となります。
図2:地域イノベーション人材像(2022,当社作成)
地域のニーズについて
いくら良いアイデアであっても、地域が協調する義務はありません。地域での活動においては、対話と傾聴を重んじながら、地域のニーズに真摯に向き合っていく姿勢がますは重要です。必ずしもうまくいくことばかりではありませんが、失敗したと考えるよりも(地域に)何が残せたかを考えながら活動していくことが求められます。
地域の課題解決は、短期でできること、中長期においてやるべきことを考える必要があります。
ある地域産品をきっけかに、地域に興味をもった方をいかに地域で「おもてなし」できるのかが、地域のブランド化に大きく関係しますが、 地域関係者によって、それぞれニーズ(目標)が異なる場合があります。例えば図3の様に、「知ってほしい、食べて(買って)ほしい、泊まってほしい、暮らしてほしい、一緒に地域をつくってほしい」、という様に区分すると、だれがどのニーズかがわかり、全ての方が同じ「ほしい」では無いことがわかります。
図3:鹿児島県錦江町でのコンサルティング事例(2021,当社作成)
地域でイノベーションを起こす
近年、ワーケーションに取り組む自治体の中でも、図4のように「課題解決型」プランを設定する等、地域課題に外部人材を活用する動きがあり、みなさんの活躍の場は広がりつつあります。
地域でイノベーションを起こすには、地域課題解決に向けて、自分のノウハウや得意分野に加えて、多様な分野に目を向けていくことも重要です。
私たちや地域で活動を行っている方が実際に現場での実践を踏まえて有益だと実感した分野、地域の方からの相談が多い分野として、この試験範囲でもある、地域資源、地域経営、観光、地域に関する人・組織・社会に関係するものが挙げられ、皆さんが地域で活動したり、地域の方の相談に乗ったりする際、少なくとも知って置いた方が良い内容です。
そして、皆さんの持つノウハウに、新たな視点を融合することでイノベーションに繋げることができます。日本の公的機関が公開している統計や事業関係の資料には、地域で活動を行い、イノベーションを起こす際に有益な分野の資料が多く存在します。インターネット等を通じて有効に活用しましょう。
図4:北海道中札内村ワーケーションでの課題解決(2022.2023、当社作成)